西部忠「都市再生と人間開発」『岩波講座 都市の再生を考える4』岩波書店,2004年.

グローバリゼーションがもたらした長期的趨勢的傾向
市場活動における競争激化や貨幣評価の一元化が進み,個人主義が拡大したためコミュニティが衰退した。
「心の豊かさ」とは,他者やコミュニティとの関わりや自己の精神や内面に関する諸欲求対応するもの
「心の枯渇」
市場の地球化へ至るような市場領域の拡張と統合=「市場の外延的拡大」
消費財から収益機会へと高次化=「市場の内包的深化」
グローバリゼーションとは市場の「外延的拡大」と「内包的深化」が同時に進行する複合現象
「自由投資資本主義」
本源的生産要素や貨幣の投資商品化=擬制資本化
経済的には交換ではなく,むしろ互酬や再分配を通じて維持されてきたコミュニティ
市場原理の侵入により,コミュニティは解体され,投資家として収益機会を選択する孤立的な個へと還元されてしまう
市場領域の拡大や深化に伴う非市場領域の縮小と浅薄化,つまり両領域の位相的境界の変動をもたらす経済的現実の帰結として理解するべき
中心市街地空洞化
多元的なコミュニティ機能の活性化
コンパクトシティ・アプローチ 多用途・多機能化と居住民の多様化,自動車を減らす
自由化や規制緩和などルールの急激な変化に基づくシステム自身の変容に起因する
アマルティア・セン
福祉(well-being)とは人間が実現することができる存在や行為の総体としての良き生を表す指標
潜在能力における明白な不平等を取り除くことでそこにおける平等を真の機会均等として実現しようとする
センは功利主義そのものを棄却する
互助的システム
福祉は達成された結果ではなく,達成しうる多様な可能性にある,自由とは個性であり多様性である