DV その2

加害者プログラムでは「被害者が関係修復を望む場合は,加害者は修復の方針でどこまで徹底した自己変革を実現できるかを追求し,被害者が別離を望む場合は,加害者は別離を受け入れることがDV克服の目標」と言えるのである。
加害男性のDV克服のプロセス
①暴力のサイクルの時期
自らの暴力の存在を認めない。苦痛には目を向けられない。
②ショック期
自明と思い込んできた価値観が揺るがされるような出来事。
これまでのパートナーや子どもとの歴史を根本から考え直すほど正面から受け止める。
③自己否定の時期
自分がいままで当然として振舞ってきたことが大きな間違いであったことと受け止める。あたりまえと信じていたものが全否定される。
暴力の正当化・否認を続けてきたのだが,いまや逃げられない事態に置かれたのである。
パートナーや子どもの心身の不調は,自分の行動の結果であると,ようやく認識することとなる。
専門的な援助の必要性を感じてそれを決断する。
痛みに向かい合いながら脱DVの営みが開始される。
「暴力のサイクル」の危険性を理解してハネムーン期そのものをとめる試み。
偽りを超えて自分の感情を表現する言葉を取り戻す作業を行う。
④建設期
自分の生き直し
⑤再出発期
家族の再統合
別離の受容
夫は単に自分の問題を見つめて暴力をとめるだけでなく,相手に与えてきた精神的苦痛に対する責任を取らねばならない,という立場に追い込まれる。
無意識の自己防衛の動きに気づいて,自らの人間としての弱さを認め,妻の正当な憤りの必然性を受け止める姿勢なのである。
取り返しがつかないほど相手を苦しめた人間として,全人格を挙げて偽りのない誠意を実現するコミュニケーションのトレーニングを専門相談で徹底して探求する。