パリ・オペラ座のすべて

朝日新聞』2009年10月9日夕刊
フレデリック・ワイズマン

音楽の導くままに躍動する肉体、その素晴らしさをひたすら見つめ、説明は一切ない。
ワイズマンは映像の力を信じて、何重構造のフランスという国の懐の深さから、人間考察にまで到達し、最後はバレエの神髄へと、再び、戻っていく。対象に迫る目は、鋭く謙虚で、人間賛歌に満ちあふれている。