天野祐吉さん

「CM天気図」『朝日新聞』2005年9月15日
「政治の世界で歴史的ななだれを起こしたのは,書かれた言葉の力ではない。それは語られる言葉の魔力だけだ。」ヒトラー
小泉さんには文字に書かれた原稿を読んでいる感じがない。それにくらべると,他の党の党首たちは,しゃべっている言葉がほとんど書き言葉である。
小泉語の魔力は「破壊」と言わずに「ぶっこわす」と言うようなところに,いちばんはっきり現れている。
「改革を止めるな」という,広告的スローガンを呪文のように繰り返すのも,小泉語の特徴である。
改革という言葉のひびきである。そのひびきをしつこく繰り返すことである。
(天野さんの文章はいつも名文である。視点が鋭い。時代を画した政治家は「話し言葉」であった。土井たか子,然り。)