宮崎哲弥

朝日新聞』2006年5月9日夕刊

保守思想の空疎化
自律的な指導理念を欠いたその運動性は,「新しい敵=新しい規定」を求めて散乱していった。
「敵」を見いだしては,その都度,対象に逆規定されるような思想実践では,やがて細分化と惰性化とを避け得ないであろう。
現実主義すら失調しているのではないかとすら思える。
もはや保守とも保守主義とも無縁な,単なる憎悪の表出に過ぎない。