取材源の秘匿で保障される知る権利

ec319132006-03-17

東京高裁決定平成18年3月17日
雛形要松裁判長

取材源に国家公務員法違反の行為を要請する結果になるとしても,ただちに取材活動が違法となることはないし,社会的公共的な価値のために取材源を秘匿する必要が相応に認められる。
報道機関の取材活動は,民主主義社会の存立に不可欠な国民の『知る権利』に奉仕する報道の自由を実質的に保障するための前提となる活動だ。
取材源が秘匿されなければ報道機関と取材源との信頼関係が失われ報道機関のその後の取材活動が不可能か著しく困難になるから,取材源は民事訴訟法上,証言拒絶が許される『職業の秘密』に当たる。
保護しようとする利益は取材源の利益ではなく,取材源の公表によって深刻な影響を被る報道機関の取材活動上の利益や,ひいては報道機関の持つ民主主義社会における価値・利益だ。

取材源の秘匿と知る権利についてコンパクトにまとめてある。
教科書に載っているような素敵な文章だと思う。