ナチズム前夜

原田昌博『ナチズム前夜』(集英社新書、2024年)

戦前のこととも他国のこととも思えない。

民主主義から誕生したナチズム。

暴力を政治宣伝の手段として。

まるで、AfD(ドイツのための選択肢)の首相が誕生する過程を描いているようだし、

政党が消滅する構図は、大政翼賛会そのものである。

 

膨大な文書を狩猟し、わかりやすく端的に整理している。

酒場が党派的な政治的暴力の苗床であったことが、実証されている。

政治的暴力の変遷が興味深いし、それを理論的に昇華させているのは見事。

 

またたくまに、議会を無化し、独裁制を作り上げる。

連邦制も形骸化させる。

もちろん基本的人権も否定する。

驚くべき手際の良さ。

当初は泡沫政党だったのが、瞬く間の大躍進。

でも、現実は可能性の束であることも感じさせる。

日本の戦前の二大政党制のように、ワイマル共和国の民主主義も

様々な可能性を持ち合わせていたと思う。

 

さすが、板橋拓己先生ご推薦の著書。

「この新書」に選ばれなかったのは、

最後まで読んだ人が少なかったからでは。

ナチズム前夜 ワイマル共和国と政治的暴力 (集英社新書)