戦後政治史における空間政治学
東京から離れて箱根や熱海で時間を過ごす首相
が作り出す、政治空間。
でも、それぞれの政治家の空間の利用方法は多様である。
アンチ吉田としてより開かれた姿勢を見せようとした鳩山一郎
かみしもを脱いだ交流の場としても考えた岸信介
公と私を厳格に区分し、国際会議を開催するが、私空間には立ち入らせない池田勇人
一次資料を縦横無尽に狩猟し、実証的に分析している
温泉という空間で個人に与えた影響が、さまざまな政治的反響を生み出していく
空間の政治学。
私も『原敬日記』を読みながら、東京から離れて、腰越(鎌倉)や岩手
に足しげく通う原敬の姿を興味深く観察していた。
東京という俗世間から離れて自らを再活性化させ、客観的な視点を付与しうる
地理的な距離がもたらす影響力。
原敬は鉄道に乗ることでも、自らの意識を再活性化していたのではないか。
相当の時間鉄道に乗っていたと思う。
東京から遠くは離れるという距離の感覚が、意識を再活性化し、
三谷太一郎の言う、ザッヘへの思いをより強めることになったのではないか。