共謀罪

朝日新聞』2005年7月28日
一定の犯罪に当たる行為を「団体の活動」として「組織により」実行しようと共謀したら,それだけで罰するという内容。
海渡雄一(弁護士)
犯罪遂行を合意すれば共謀罪は既遂になる
法案は対象を「組織犯罪集団」に限定していない
捜査が難しく被害の大きい「越境的組織犯罪」だからこそ共謀罪が例外的に許されたと考えるべきだ
市民団体や労働組合を対象から明確に除くために,越境性も要件に加えるべきだ
テロや組織犯罪に市民が不安を持つ状況を背景に,刑法の良い部分,つまり適用範囲を限定して個人の自由を保障するという機能をも掘り崩そうとしている
自分が安全ならば多少の人権侵害はいいという考えは,社会全体を息苦しく,住みづらくさせる。共謀罪はそれを象徴している
国旗国歌法と同じように,成立してしまえば立法当時の見解は覆されてしまう。そして,ビラ配り裁判のケースと同様に権力が法律を恣意的に運用することになる。
今日の『朝日新聞』によると今国会では成立を見送るとのこと。)